イラン中央部に位置する小さなオアシス都市ナインは、イスラム初期のモスクや素晴らしいメフラーブ、14世紀のミンバル(説教壇)を有するマスジュデ・ジャーメ(金曜寺院)でも有名な都市です。昔は上質なウールの布の産地として有名でしたが、機械織り製品の氾濫とともにウール産業も衰退し、その工房が絨毯産業へと転換をはかったのが1920年代のことです。やがて、その品質が西欧で高い評価を受けるようになって、ナインは世界に知られる絨毯産地となりました。落ち着いた色調、白い絹でモチーフの輪郭をとって文様を浮かび上がらせる手法などがその特徴となっています。